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    2010

10.15

遊戯3

 リドルが帰った後、皆はそれぞれに準備をしていた。ジゼルにスイの看病を任せ、銃弾や砲弾、ナイフの点検をしている。
「23人は任せたわ、戦争屋もどきはアタシが屠る」
 ワイヤーソーの刃を研ぎながら、リイザが言う。
「頚部強化してたらこれよりコンバットナイフの方がお役立ちなんだけどねー」
「リイザさんのワイヤーソーに掛らないように少し離れてた方がいいな。第三埠頭は逃げ場所が多い、車で逃走されないように考えた方が良い」
 レジーナは人間サイズのコンバットナイフのグリップを調整して使いやすいように改造している。
「到着次第奴らの車と船とに爆弾をセットしよう。蔡氏特製の小型爆弾が20発ほどある」
「20?まったくアンタの主は何考えてるんだか、人形に持たせる数じゃないわよ」
 天照の得物は主の持つ青龍偃月刀を人形サイズに小振りにしたものである。確認すると、飛び道具を使うのはマリアとセミラミスのみだった。その二体にしても、格闘技では唯人を凌駕する。純粋に戦えば、楽園の猫でも情報屋スイでも一番弱いのはスイということになる。人形たちほど反動に負けない身体というのは、機械化していなければ難しい。結果人形たちの方が口径の大きな飛び道具を使用できる。また、人形なだけあって、照準も正確である。
 レジーナの着るラバースーツに似たような衣装に身を包むと、それだけで何となく強くなった気がする。ひらひらふりふりのショートパンツ姿のリイザ以外は、皆がっつり戦闘スタイルだった。身体中にナイフや銃器を仕込み、長い髪はアップスタイルにしている。
 マリアやセミラミスなど、さっきの時代がかった衣装が嘘のようなアマゾネス振りである。
「やーね、お揃いっぽくって」とはリイザの談である。そういうリイザも、ブーツの踵には鉄板と刃を仕込み、やる気たっぷりである。


 まるで人形で作られた一個小隊のようだった。闇に溶けるよう黒を基調としたラバースーツのようなお仕着せに、赤外線スコープ、軍靴。一人燃えるような赤を身に纏うレジーナが、さしずめ隊長格か。リイザのみ淡い緑で浮いている。リドルが来ればおそらく上質の生地を使った白シャツにギャバジンかツイードかのパンツスタイルで、その上品さが更に場に浮く格好になるだろう。
 天照が、それぞれに爆弾を手渡す。
「各自仕掛ける場所を図面で確認しておくと良い。わたくしは黒のワンボックス4台に」
「車すべて受け持つ気か?」
「セダンは誰かに任せるぞ。レジーナはその色が目立つから陽動に動いてもらいたい」
「むしろセダンから潰すべきね。わたしは躯体が大きいから接岸する船の方を受け持つわ」
「じゃ、セダンはセラね。ついでに運転手も仕留めておくと後が楽よぉ。あ、アタシはレジーナと一緒に各個撃破組」
「何台アルノカシラ?20個モアルノダカラ足リルトハ思ウケレド」
「セダンは来る時は運転手だけよ。4台ね。大丈夫、セミラミス?」
 立体図面の上で額をつき合わせていた面々は微笑みあった。
「大丈夫デスワ」
「何でここまで分かってて自分で潰さないのよ、あの馬鹿伯爵」
「アノ方ハ電脳戦以外ノ荒事ハ不得意デスモノ」
 スイを動かせば他がついてくると分かっていての確信犯だ。事実、スイは抜きでも話は進んでいる。
「船用には二個頂戴ね。沈まないにしても航行不能にしなくてはね」
「時間マデ後1時間弱デスワ。移動シテオキマショウ。りどるモ来ルコトデショウ」
 ライフルとサブマシンガンで武装したセミラミスが立った。両方とも人形用にとデュークが作った特製品だ。
 一方、人間サイズで作られた武器弾薬をこともなげに抱えたのはマリアである。バヨネットには銃庄に鉄の錘をつけてある。エデン出身の戦争屋が好んで使う装備だった。蛇の道は何とやら、楽園の猫はさまざまな装備品を情報屋の事務所に隠し持っている。
 逆に軽装なのはレジーナとリイザ。陽動をという割には、重火器類は持っていない。レジーナは超振動コンバットナイフの二本使い、リイザの主武器はワイヤーソーである。短距離から確実に一体づつ仕留めるやり方が、リイザは好きだった。
「ライザがいれば狙撃頼むんだけどねー」
 かといって、片割れを必ずしも必要としない。
「別行動なのか?」
 レジーナが聞くと、まぁねと軽く答える。
「二人一緒の方が珍しいんだってば、レジーナ。アタシたちは別に二人一組ってわけじゃないんだから」
 その二人が共に動くときは大抵大惨事が起こる。そうは聞いている。
 全員が鉄板を仕込んだ重い靴音を響かせて、小さな事務所を後にした。
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