--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告:  トラックバック(-)  コメント(-) 

    2011

11.22

バニ誕 こっちへの掲載は遅くなったけどちゃんと誕生日には書いていたのよ!← 


 今日のサプライズは、ヒーローズプラス斉藤さん、ベンさんによる多分に悪戯心の溢れたパーティだった。
 トレーニングジムに入るなり、派手にクラッカーの音が響き渡り、拡声器により半ば叫び声のように聞こえる斉藤さんの「おめでとう」発言、年少組による手早いウサ耳の装着と、年長組によるベンさんと斎藤さん作成のカラフルなケーキ(花火のおまけ付)の贈呈というハロウィン仕立てのものだ。
 悪趣味な色合いのデコレーションケーキは一体誰の趣味なんだろう。きっと誰かが二人に入れ知恵を下に違いない。
 以前の演劇仕立てのサプライズよりはずっとマシだと思ったバーナビーは、みんなの期待に応えるべく、晴れやかな笑顔をみなに向けた――ウサ耳を付けたまま。
「ありがとうございます」
 ほら、やっぱりこういうオーソドックスなのがいいのよ、とコケティッシュな魔女に扮したブルーローズが胸を張る。でもあれ色が変だよ、とケーキを指差すキョンシーに扮したドラゴンキッド。いや、あれこそがハロウィンに相応しいものだと力説する吸血鬼のスカイハイ。いや誕生日だろ、と突っ込むフランケンシュタインなロックバイソン。とにかく楽しもうという趣旨らしい。
「すみません、遅くなりました……」
 恥ずかしげにもじもじするドラァグクイーンのファイヤーエンブレムに擬態した折紙サイクロン(ヒーローズの誰が見ても分かる)。その後ろから、カーニバルか歌劇団のような羽を背に揺らしながら悠々とやってくる方が、間違いなく本物のファイアーエンブレムだ。
「あぁら、乙女の身支度には時間がかかるのよ! ハンサムなら分かってくれると思うわ」
「折紙先輩がファイアーエンブレムにつき合わされたということだけははっきりと分かりますね」
 お誕生日は最強。時としてハロウィンより。

 しかし虎徹の姿が見えない。こういうことにはいの一番に参加しそうなのに。
 つい、探してしまう。
 そしてそれをブルーローズに身咎められる。
「タイガーを探してるの?」
 ふふんと事情を知っているように勝ち誇った笑みを浮かべる。
「タイガーなら今ふがもごごごご」
 ネタばらしをついしそうになったドラゴンキッドの口を押さえたのは、ファイヤーエンブレム。
「言っちゃ駄目よォ、サプライズなんだから」
「あなたのためにって思うとかなり不愉快だけど、あなたの知らないことを知っているっていうのは気分が良いわ」
 好戦的なブルーローズ。しかし今日負けるバーナビーではない。
「もちろん僕のために彼自身が考えてくれただろうことは分かっていますからね。あなたが何を知っていようと僕の優位性は変わりません」
「ただのJK扱いするにしてはずいぶん真に受けてくれるのね」
「僕の誕生日ですしね」
「私のこの衣装はハロウィン仕様よ!」
 はい、キレた方の負け。
「あ、今日はブルーローズ完敗」
 様子を見ていたドラゴンキッドが、唇を噛み締めるブルーローズを遠巻きにしつつ判定を下す。
「にしてもワイルドタイガーはあの扱いに対して不満はなかったんだろうか?」
 首を傾げるスカイハイに、大丈夫だよ、とドラゴンキッドは笑いかける。
「きっとタイガーは、バーナビーが喜んでくれたらそれでいいんだと思うよ?」
 聡い子である。なるほど、とスカイハイは力強く頷いた。

 その頃。
 巨大なフェイクファーの塊と化した虎徹は、大きなリボンをかけられて別室に閉じ込められていた。
「どうせならポイントの方にしておけば良かったか……」
 虎柄の着ぐるみが、ごろりと転がっている。派手なリボンに包まれて。
「なーんか間違った気がする……」
 首に付けられた荷札には「Happy Birthday for dear Barnaby!」の文字が踊っている。
 今頃トレーニングジムではパーティになっている頃だろうか。頃合を見て出してあげるとファイアーエンブレムに唆され、ファーとリボンで飾り立てられてしまった現状を、どう理解すれば良いのか。ヒーローズと一緒におめでとうを言ってやりたかった気もする。
「絶対間違った気がする」
 不安は、確信に変わった。
 何とかリボンを外そうと試みるも、フェイクファーと詰め物のおかげで手が自由に動かせない。こんなことでハンドレッドパワーを使うのも馬鹿馬鹿しい。
 思案しているところに、女子組の黄色い声が聞こえてきた。
『まぁ良いからそこ入って入って』
『私たちがわざわざ用意したんだから文句は受け付けないわよ』
『大丈夫だって、変なもの仕込んでないから』
 いや、ファーとリボンでラッピングされたおじさんは十分に変なものだろうと突っ込みたいぞドラゴンキッド。
 シュン、とドアが開き。
「ハッピーバースデイ、バーナビー! 最高のプレゼントを用意しておいたわよぉ!」
 お茶目(?)なファイヤーエンブレムの声とともに、バーナビーの背中は押された。
「え?」
「おい!」
 シュン、と再び音がして、ドアが閉まる。
「ちょっと? ネイサン? 出してくれるってのはどうなった?」
 ほーほほほほと高笑いが聞こえる。
「……虎徹さん……何なんですかその格好は。それがハロウィンの仮装ですか?」
「無理やりだっつーの! お前こそ可愛いお耳がついてるじゃねぇか」
「まったく……仕方がないおじさんですね」
 がっちり絡まったリボンは容易に解けない。
 ふと、荷札がバーナビーの目に留まった。
 ふわりと目元が綻ぶ。
「eat me」
 バースデーカードの裏には、そんな文字。
「虎徹さん、気付いてますか、この荷札」
「女子組がキャラキャラ笑いながら付けてったよ」
「こういうことは本人から言わせないとですね」
「あぁん? 何が書いてあるんだ?」
「内緒です。折角だから記念にもらっておきますね。虎徹さん、前に言った一日の束縛……」
 少し記憶を掘り返すと、確かに言った、おはようからおやすみまで、ずっと一緒に。
「明日の万聖節、、貰ってもいいですか」
 なんとかリボンがほどけて、自由になったふわもこの手で、虎徹は微笑いながらバーナビーの頭をポンポンと軽く叩いた。
「まずはこのぬいぐるみから抜け出すのが先だな。そのあとはお前に任せるよ、バニー」
 滅多に見せない美人の極上の笑みを、返した。

「バーナビー、誕生日おめでとう。ご両親に感謝しに行かなくちゃな」

「じゃぁ、お墓参りも含めて一日独占ですね。
 バーナビーはぬいぐるみごと虎徹を抱きしめた。
「僕のオジサン、ですからね」
「わぁーったって。って顔近い近い。」
 額に、かすめるくらいのキス。
「さ、抜け出せそうにないですし、このまま運んであげますよ」
「それはかなーりオジサン恥ずかしいかな」
「僕は気にしません」
 前科何犯か。お姫様抱っこのハンサムエスケープに、観念した。

「行き先は僕のフラットでいいですね。近いし」
「PDAが鳴ったら」
「二人揃って出動するんです」

「今度は虎徹さんの誕生日も祝わせてくださいね」
 はにかんで笑う、それはまさに子供のような笑顔だった。


□■□■□


「ところでファイアーエンブレム。最後にカードに追記したでしょ。何て書いたの?」
 ハッピーバースデイの件を渋々書いたブルーローズは、何やら細工していたのを見落としてはいなかった。んーあれはねーと右人差し指を顎にあてたファイアーエンブレムは、らしくない不敵な笑みで少女に返した。
「多分バーナビーが一番言ってほしい、もしくは言ってみたいフレーズよ」
「何よそれ」
「きっとブルーローズも言ってみたいんじゃない?」
「何、私敵に塩を送っちゃったの?」
 軽くショック。
 額に手の甲をあて、上を向く。
「後悔?」
 ドラゴンキッドに聞かれ、ブルーローズは額にあてた手をぐ、と握り締める。「あとで絶対挽回するんだから」
 何しろ誕生日。仕方がない。そう思うことにして、ブルーローズはファイアーエンブレムに宣誓した。
「奪われる前に絶対助けだすわ!」


 本日も通常運航。平和なジャスティスタワーだった。
スポンサーサイト

小説トラックバック(0)  コメント(1) 

 |TOP
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。